おいしいコーヒーとはどんなものだろうか

これから何日かに分けてコーヒーの美味しさについて考察していきたいと思います。

まず最初に、我々のような専門店が手がける、美味しいコーヒーというものについて天下り的に定義を与えてしまいます。

  • 香りが良いこと
  • 飲むとコクがあり味がよいこと
  • 適度な苦みや刺激があること
  • エグみや飲みにくさがないこと
  • 気分がよくなること
  • 記憶に残ること

とりあえずこれくらいを美味しいコーヒーの条件としたいと思います。考察が進んだらまた変わるかも知れません。 明日はまず最初の「香りが良いこと」について詳しく考えてみたいと思います。

ドリップ講座でなにを取り上げるか

2月にはじめてペーパードリップ講座を開催しました。店で豆売りをはじめたので、買っていただいた豆をより有効に活用してもらうための試みです。

4/8の日曜日に次回を行う予定なのですが*1、そこでなにを学ぶことが出来るのかについての現在の考えを示しておきます。

猫廼舎はネルドリップコーヒーの美味しさを伝えるためにやってるんだということを常々話していますが、今後しばらくの講座ではペーパードリップを扱います。これははっきり言って非常に悩ましいことなんです。

美味しさを考えたらネルドリップを教えたいし、広めたい。でもご家庭でコーヒーを飲む習慣がない方にはいきなりネルドリップはハードルが高過ぎるのです。集める道具もペーパードリップとくらべるとちょっと値が張ります。管理も少しだけですが手間をかけてあげなくてはなりません。

実はこれは我々の責任でもあります。もっと管理が簡単で、お求めやすい価格のネルドリップ商品を作らなくてはならないのです。でないといま以上に広がることもないでしょう。その努力は続けたいと思います。でもそれまでは、あと少しだけ時間がかかります。

そんなわけでドリップ講座ではペーパードリップを扱います。ご家庭でペーパードリップで日常的にコーヒーを飲まれるようになって、たまにネルドリップの味が恋しくなったらお店に来ていただく。ひとまずはそんな状態を目指して行こうと思います。

ドリップ講座、なるべく月に1回くらいは開催しようと思っていますので、ご都合のいい日がありましたらぜひご参加ください。

 

*1:まだ空きたあります。参加希望の方は http://cafenekonoya.com のコンタクトフォームからお申し込みください

よく聞かれるので開店の経緯についてかんたんに

 店主がはじめて会った人や、ひさしぶりに会った人なんかに「コーヒー屋やってます」などと伝えたときにはほぼ間違いなくその理由を聞かれます。

「なんでコーヒー屋さんはじめたの?」という質問の意図はわからない。純粋な好奇心かも知れないし、自分も飲食店をやろうと思っている人が参考にしたいのかも知れないし、明らかに儲かりそうにない商売内容を心配してくれているのかも知れない。

その正直に答えると「縁と偶然が重なったから」ということになるんですが、そう伝えても「なるほど、わかった!」というふうになることは稀です。というわけでその縁と偶然のうちの一面について説明致します。

そもそも店主は(知ってる人も多いと思いますが)、ソフトウェア開発やそれにまつわるコンサルティングなどの仕事をしていました。それをオフィスでもある自宅で引き込もって行っていたのですが、近年は手狭に感じるようになっていました。引っ越してきた当初は2匹だった猫もいつのまにか4匹になっています。アルバイトを呼ぶことも出来ず、銀行さんとの打ち合わせ中に営業の人の膝に白猫が乗ってしまうような有様です。これを解消するためには、もう近所にオフィスを借りるしかないということになったのです。

最初はインターネットでゆるーくオフィス物件を探していたのだけれど、そのうちそのネット不動産屋さんが仲介がめんどくさくなったのか、地元の不動産業者さんと直接やってくれ(そして契約決まったら教えてくれ)と丸投げでご紹介してくださいました。そのご紹介いただいたところが、いまお世話になっている唐澤不動産さんです。

当初は唐澤さんはオフィスもいくつかご紹介いただきましたが、実はもともとは店舗物件が得意だったのです。ということで、かかるお金もそんな変わんないから店舗も見なよって口車に乗せられてすすめられるままにいろいろ見ることにしました。こちらも、2階だの地下だのだったらそんなに高くないのではないか、店舗物件とは言っても什器を入れないでふつうにオフィスとして使えばいいし。そして探していたエリアには荒木町という都内でも有数の飲み屋街があり、その近くの店舗物件だったら仕事に疲れたときに食事に出たり飲みに行ったりするのに便利。

まあそんな感じで夏くらいからゆるゆると探してもらってたんですが、年末のある日、いまの店舗物件を見ました。それを一目惚れして借りて、そのまま使うつもりだったんだけどお店を借りたがお店をやりたくなってしまった。それだけ。

これだけ書いてもまだ納得できない、という顔をしてる人がたくさんいそう。

自家焙煎ではありません

1年越しでblogが存在することを思い出したので、ついでに勢いでざっくばらんなことも書いてみます。

当店が「珈琲専門」などと冠しているために本格指向であると判断されるのか、お客様からよく「コーヒー豆もこちらで焙煎されているのですか?」とご質問いただきます。

答えは「いいえ」なのですが、それは何故かと言いますとまだ私には美味しく焙煎できないからなのです。いずれは自家焙煎に切り替えたいと目論んでおります。

美味しくできないのはなぜかというと、そもそも難しいからです。ただ豆を焙煎するだけでもとても難しい。もちろんやってることは豆を火にかけて焼くだけなので、表面的に難しいことはなにもないのですが、美味しく焼くのは本当に大変です。

諸先輩方の中には「お肉を焼くのと一緒」などといって煙に巻く方もいらっしゃいますが、お肉も完璧な火入れというものはレストランでもそうお目にかかれるものではないのです。が、完璧どころか一定水準に持っていくことすれ難しい。ビビると生焼けの味がして、気を抜くと焦げた味がします。その両者の間の違いは秒単位です。

もちろん、どんな生豆を使うかということも焼いた豆の味にものすごく影響します。コーヒーは扱っている業者さんもたくさんありますから、その都度分けていただけるロットで生豆を発注しますが、焼いてみた結果がイマイチだったとして、それが自分の腕のなさによるものなのか豆そのものの力で限界だったのかは判然としません。何回も自分で焼いて味見してを繰り返して、よさそうな生豆や業者さんを探していくしかありません。

そんなわけで、未だ修行中の身では致し方なく、現在は店主が飲んで美味しいと思ういくつかのお店から焙煎済みのコーヒー豆を買わせていただき、営業には主にそちらを使っています。

店主のテスト焙煎豆もたまに持ってきていることがあります。発展途上のものでもかまわないから味見をしてみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、声をかけてみてください。

 

1年が経った

気がつけば今日でお店が1周年になっていました。

縁と勢いで開店したわりにはなんとかつぶれずに1年経過していましたが、その間、いまだに看板も出せず、印刷されたメニューもまだなく、ホームページはあちこち書きかけだったりリンクが切れたまま、などという惨状のままでいるとはさすがに思っていませんでした。

内装とか対外的なこととか、いろいろとやりたいことはあったけどそのうちの何分の一かも実現しないまま来てしまいました。が、そうやってストイックになりきれずにだらだらとゆるく続けてきたことが、この1年間を無事乗り切れたコツだったのかな、などとも思います。

店主がいいかげんな性格なのでお店もそれを反映してしまうのです。

それにしても、なんとか1年継続できたのはひとえにご来店してくださるお客さま、ならびにご来店はかなわないまでも応援してくださる皆さまのおかげです。
これからも、2年、3年、10年、20年と続けて行きたいと思っていますので、引き続きいろいろな形で応援いただけたらと思います。

今後ともよろしくお願いします。